三田行政法務事務所
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ファンド形態比較
さて、最初にお話したように、ファンドは数名〜数百名、場合によっては数千名の人が出資をしますので、組合という形態で作るのが一般的です。組合形態にもいろいろとあり、よく使われているのは投資事業有限責任組合、民法上の任意組合、商法上の匿名組合などが挙げられます。それぞれの特徴を比較したものが次の表ですので、ニーズに応じて使い分けていただきたいと思いますが、ファンドの透明性の確保の点から当事務所では投資事業有限責任組合をお勧めしています。
投資事業 有限責任組合 |
民法組合 (任意組合) |
匿名組合 | ||
組 織 形 態 |
根拠法規 | 投資事業有限責任組合契約に関する法律 | 民法 | 商法 |
組織 (形態) |
二以上の当事者の契約に基づき、各当事者が出資をし、共同事業を行う組織(法人ではない)(§667)
ただし、業務執行を行わない組合員の責任を出資額に限定(有限責任)することを法的に担保(§9) |
二以上の当事者の契約に基づき、各当事者が出資をし、共同事業を行う組織(法人ではない)(§667) | 営業者と匿名組合員の二当事者間の契約に基づき、匿名組合員が営業者に出資をし、営業から生じる利益の分配を受ける組織(法人ではない)(§535)
営業者は複数の匿名組合契約締結が可能だが、出資者相互間の法律関係は存在しない |
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財産の 帰属 |
総組合員の共有(合有)(§16) | 総組合員の共有(合有)(§668)
組合員による持分処分の制限、組合財産分割請求の禁止(§676) |
営業者の所有(§536) | |
組織・ 活動に 関する 根本原則 |
投資事業有限責任組合契約の定め(§3) | 組合契約の定め | 匿名組合契約の定め | |
出 資 者 の 地 位 ・ 脱 退 等 |
出資者等 の権利 ◇:自益権 |
◇組合財産の分配(§16) ○無限責任組合員の解任権(§16) ○業務及び組合財産の状況の検査権(§16) ○財務諸表等の閲覧権等(§8) ○組合の解散請求権(§16) |
◇組合員の損益分配(§674) ○業務執行組合員の解任権(§672) ○業務及び組合財産の状況の検査権(§673) ○組合の解散請求権(§683) |
◇利益配当請求権(§538) ○営業監視権(§542) |
出資者等 の責任 |
〔無限責任組合員〕 無限責任(連帯責任)(§9) 〔有限責任組合員〕 |
無限責任(債権者はいつでも各組合員の個人財産にかかっていける)
組合員の損失分担の割合によるが、債権者が知らないときは平等の割合での分割債務となる(§674、675) |
匿名組合員は有限責任(匿名組合員がその氏名等を営業者の商号中に用いた場合等は、それ以後に生じた債務は営業者との連帯責任)(§537) | |
地位の 譲渡・脱退 |
組合員の地位は他の組合員の同意なく譲渡できない(判例)
組合員はやむを得ない場合を除いて脱退できない(§11) |
組合員の地位は他の組合員の同意なく譲渡できない(判例)
組合員は原則としていつでも脱退できるが組合の同一性を失う場合にはできない(§678) |
営業者の地位は匿名組合員の同意なく譲渡できない
各当事者は一定の場合に匿名組合契約を解除できる(§539) 匿名組合員の地位は営業者の同意なく譲渡できない |
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ガ バ ナ ン ス |
業務の 執行 |
無限責任組合員が業務を執行(組合の常務以外の業務は過半数の無限責任組合員の同意が必要)(§7) | 各組合員による業務執行が基本(組合の常務以外の業務は過半数の組合員の同意が必要)(§670)
務執行組合員や組合員以外の第三者への業務執行の委任も可能(§670) |
営業者の単独事業(§536) |
業務 執行者等 の責任 |
善管注意義務(§16) | 善管注意義務(§671) | 善管注意義務 競業避止義務 |
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業務執行 に対する 監視 |
組合員の業務及び組合財産の状況の検査権(§16) | 組合員の業務及び組合財産の状況の検査権(§673) | 匿名組合員の営業監視(営業者の業務及び財産の状況の検査等)(§542) | |
そ の 他 |
ディス クロー ジャー |
財務諸表等の作成及び備置き(§8) | ファンドの規模による | ファンドの規模による |
主務官庁 等による 監督等 |
金融庁、経済産業省 | 金融庁 | 金融庁 |
ファンドの形態が決まったところで、「ファンドの設立のしかた」に進みましょう。
履 歴 事 項 全 部 証 明 書
投資事業有限責任組合の登記簿謄本のサンプルを次に掲載しますので、参考にしてください。
組合の名称 | ○○投資事業有限責任組合 |
組合の主たる事務所 | 東京都中央区○○一丁目△△番○○号 |
組合契約の効力が 発生する年月日 |
平成20年7月1日 |
組合の事業 |
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無限責任組合員・ 精算人に関する事項 |
東京都世田谷区○○一丁目△△番○○号 無限責任組合員 ○○ ○○ |
組合の存続期間 | 平成30年6月30日まで |
解散の事由 | 本組合は、下記の事由に該当する場合、解散するものとする。 有限責任組合員の全員一致により解散が決定されたこと。 |
登記記録に関する事項 | 組合契約の効力発生 |
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